流れ星見つけた

白樺湖周辺の澄み切った空気のなか、見上げるとそこは満天の星。
ただみつめているだけでも美しいこの空に、流れ星をみつけたとしたら、それは感動的な瞬間です。
その流れ星、意外にもたくさん流れているのです。流れ星のみつけ方を知って、夜の高原へ。

初めてランプが灯った宿

白樺湖周辺の開拓がはじまったのは昭和20年のこと。その当時、もちろん電気はなく、そもそも道路もなく、郵便もなく、移動手段は馬、という暮らしからはじまった開拓でした。夜になれば頼りになるのはランプの明かりのみ。それすらも薄暗く、心もとない日々だったといいます。

開拓から10年、初めて白樺湖周辺に電気が灯ったのは昭和30年7月31日のことでした。柏原区の自家発電により電気が導入されたのが最初のこと。今でこそ、ビーナスラインから見下ろす白樺湖の夜景は、ホテルの灯りやゲレンデの照明がきらめく幻想的な風景ですが、当時は音も消えてしまったかのような、完全な暗闇に包まれていたのだろうと想像されます。明かりを得た現代の白樺湖周辺でも、空気が澄んでいるので見上げれば満天の星。ランプ生活の当時、頭上の星空はどれほどか美しかったことでしょう。

明かりの灯った白樺湖周辺の夜景と広い星空を交互に眺め、この地を開拓した人たちがどんな思いで電気が通るのを待っていたのかを思うと、星の瞬きも、夜景のきらめきも、どちらもより美しくいとおしいものに見えてきます。

星をみること自体、ロマンにあふれることですが、そのなかでも流れ星は特別な存在。流れている間に3回願い事を唱えると…という言い伝えは、誰しもが知るところ。思いをはせる星空、願いを託す流れ星ですが、さて、そもそも流れ星とは一体なんでしょう。

流れ星は、宇宙空間に漂う小さな塵が地球の引力で大気圏に飛び込み、加熱されて発光し、最後には蒸発するものです。その様子が、まるで星が流れたように見えることから「流れ星」あるいは「流星」と呼ばれています。飛び込む速度が速いほど、流れ星は明るく輝きます。この流れ星、そうそう見られるものではないと思っている人が多いかもしれません。ところが、「散在流星」と呼ばれる流れ星は時間帯にもよりますが、1時間に10個前後も流れているのです。もちろん、太陽が昇っている昼間も変わらず流れ星は存在し、ごくまれに肉眼でも見ることができるそうです。

おすすめの時間帯は、夕方よりも明け方の空。明け方の方が、地球の公転と相まって、宇宙の塵が早い速度で大気圏に入り込むからです。そして、どこを流れるか分からない流れ星だからこそ、大切なのは空が広く見渡せること。白樺リゾート周辺では、林が途切れれば空を半球状に一望できるので、星空観測にはぴったり。寝転んだりあるいは座ったり、なるべく楽な姿勢で空を広く見渡す準備をして、暖かい服装で出かけましょう。白樺湖の夜景を楽しんだあと、暗さに目を慣らしてからの観測をはじめましょう。

とはいえ、広い空の下、流星を探すのは根気がいることに違いありません。そこで、もうひとつのおすすめが、流星群の時期に合わせて探すこと。国際天文学連合で認定した流星群の数は95。そのなかでも多くの流れ星が流れるといわれる流星群の時期に合わせれば、いつもよりも流れ星に出会う機会は多くなります。

ちなみに、白樺湖のほか、白樺湖からは少し佐久方面へと向かった場所に広がる蓼科第二牧場や、その先の展望台の周辺から眺める、浅間山の裾野に広がる佐久平の雄大な夜景も見どころです。こちらは駐車スペースが限られますので、ドライブで楽しむ方がおすすめです。

地球の公転、自転と流れ星の角度

毎年出現する流星群

流星群名出現期間極大(より多く流れる日)出現数
しぶんぎ1月2日~5日1月3日~4日
こと4月20日~23日4月21日~23日
おとめ3月26日~4月27日4月7日~18日
みずがめη(エータ)5月3日~10日5月4日~5日
みずがめδ(デルタ)7月27日~8月1日7月28日~29日
やぎα(アルファ)7月27日~8月10日8月1日~2日
ペルセウス8月7日~15日8月12日~13日
はくちょう8月10日~31日8月19日~20日
オリオン10月18日~23日8月19日~20日
おうし10月23日~11月20日11月4日~7日
ふたご12月11日~16日12月12日~14日
こぐま12月21日~23日12月22日~23日
※極大はより多く流れる日、日付は目安(出典『理科年表平成26年』国立天文台編)

白樺湖からビーナスラインを車山高原方面に向かって5分ほど車で走った左手のチェーン着脱所では、白樺湖周辺の夜景と、蓼科山のシルエット、そしてが満天の星が楽しめます。 また、展望台では、星空はもちろん、浅間山の裾野に広がる佐久平の雄大な夜景も見どころです。

参考文献『ニューレジャーへの挑戦』鶴蒔靖夫著 IN通信社出版部(1985) 『理科年表 平成26年』国立天文台編 丸善出版(2013)